「一眼カメラを始めたい初心者ですが、レンズキットはダメですか?」
全然ダメじゃないです。
レンズキットがダメだと言っているのは、カメラのレンズの酸いも甘いも知っている変態の域にいる人たちです。
一眼カメラ始めたての人はレンズキットのレンズから入って大丈夫です。
そもそもレンズキットとは、本体とレンズが別々に分かれる一眼系カメラにおいて、カメラ本体とレンズをセット売りしているキットです。
しかしネットを見回すと、ちらほら「レンズキットは買うな勢」を意見を目にすることがあります。
仕事ではテレビ屋やりつつ、プライベートではカメラを振り回すのが好きな私がなぜ「レンズキットから入っていいか」を解説します。
▼なぜレンズキットのレンズが不評?
そもそも、どうしてレンズキットのレンズは酷評されるのか?
それは下記の3つが大きな理由です。
- 暗い所に弱い
- ボケ感が弱い
- ズームが中途半端
■暗所に弱い
カメラのレンズには「F値」と呼ばれるあるレンズスペックの値が存在します。
Wikipedia先生によると・・・
F値 (エフち、英: F-number)とは、レンズの焦点距離を有効口径で割った値であり、レンズの明るさを示す指標として用いられる。F値が小さいほどレンズは明るく(=レンズを通る光量が多い)、シャッター速度を速くできる。
Wikipediaより
つまりF値と呼ばれる値が小さいほど、明るく撮影できるレンズということになります。
具体的にいうと、「F1.8」のレンズと、「F4.0」のレンズでは「F1.8」のレンズの方がより多くの光を取り込むことができ、明るく映すことが出来ます。
そしてより多くの光を取り込めるレンズの方が高性能ですから、高価になります。
レンズキットのレンズは値段をリーズナブルな設定にしている分、このF値が低いことが多く、つまりは暗い場所に弱いレンズになってしまうんです。
■ボケ感が弱い
一眼カメラを買って、カメラを始めたい人というのが撮りたい写真、映像というのは背景がボケたものかと思います。
背景が完全に溶けて、被写体にビタッとピントがきている写真は一眼カメラの醍醐味ですからね。
ただこの背景のボケ感も、前述したF値が関わってきます。
ボケ感もF値が少ないほど強くでます。
「F1.8」のレンズと、「F4.0」のレンズでは「F1.8」のレンズの方が、背景がより強くボケるんです。
■ズームも中途半端
「じゃあ、ズームはどうなの?スマホで撮るよりは拡大できるんでしょ?」
スマホで撮るよりは、拡大できます。
ただ電柱に留まったスズメをバシッと拡大して撮影できる!とかサッカースタジアムの観客席から選手がバシッと拡大して撮影できる!・・・とは思わないでください。
そのレベルのズームはそれ相応の望遠ズームレンズが必要になってきます。
▼レンズキットのレンズを購入する利点
じゃあ、こんなダメなところしかないレンズのどこがいいのよ?って思うと思います。
正直にいうと、「いい所」なんてないんです。レンズそのものには。
レンズは分かりやすく「高価なものがいいレンズ」になります。
お買い得なレンズはたまにあっても、「安くて美味い」みたいな居酒屋みたいな価値観は存在しません。
それをご理解いただいた上で、レンズキットのレンズから始める理由は下記になります。
- リーズナブル
- 「凡庸」を学ぶのに最適
■リーズナブル
なんといっても利点はこれに尽きます。
そもそもメーカーが、初心者の方がエントリーしやすいように設定してくれている組み合わせと値段なわけです。
このセット売りで利益があまりでなくても、メーカーや小売業者にとってみれば新たなカメラ需要を生めれば、新製品や次のレンズを購入してもらえるわけですから「撒き餌」のための値段設定とも言えます。
「撒き餌」と分かったうえで、安いお値段でありがたく一眼カメラライフを始めちゃいましょう!
■「凡庸」を学ぶのに最適
一眼カメラのレンズは「明るくて、超広角も撮れて、逆に眺望円も撮れます!」なんていうなんでも可能なレンズは存在しません。
何かが得意であると、何かが不得意になるのがレンズです。
「万能」「一番いいやつ」「最強」・・・この概念がないレンズの世界において、まず【凡庸なレンズ】を知ることは大事です。
凡庸で特徴が少ないレンズ、使いにくいレンズだからこそ、そこから次のレンズを購入するときに「遠くを飛ぶ野鳥を撮りたいから望遠レンズを買おう!」「夜景をきれいに撮りたいからF値が低いレンズを買おう!」と目的に合わせたレベルアップができます。
使いにくいレンズを扱って写真を撮ることが一番、カメラやレンズを知る近道になるんです。
▼レンズキットを購入しないとしたら?
「色々話聞いたけど結局レンズキットのレンズじゃないほうが良さそう・・・。」
わかりました。
じゃあ、「F値の低い、単焦点の、焦点距離が50mm」くらいのレンズを購入してください。
つまりどういうことかというと、「明るく撮れて、ズームが出来なくて、人間の目と同じくらいの画角」のレンズという意味です。
単焦点レンズは軽量で持ち運びも便利です。
また焦点距離50mmのレンズは人の見ている景色と同じくらいの画角になるので「あ!この景色いいな!」と思ったものがそのまま切り取れます。
カメラが上達する上で一番大事なのはとにかく持ち歩いて、撮ることなのでこの手のレンズをおススメします。
(※本当はレンズキットを試した後の2本目としておススメしたいレンズです。)
私は宗教上の理由で、SONYのカメラしか使わないので、具体的には下記のようなレンズになります。
皆さん、まずは一眼カメラを持ち出して、「撮りまくる」ところから始めてみてください。レンズキットでもそうじゃなくても。